恋愛ストレージ
恋愛ストレージ



 懐かしい。
 あの頃は自分の“記憶”の能力で悩んでたのに今じゃ……能力は完全じゃないけど前ほどじゃない。

 私は拓海くんに出会い、頭の中の記憶になかった感情を知った。

 それに今まで感じたことのない“幸せ”を、知ることができた。

 彼との思い出が、たくさん増えた。


「咲良、もうすぐ5冊目だよ。さすがに咲良も5冊分は無理だろ?」

「うん……そうだね。これからも続けたいな。私の頭の中だけじゃなくてこれなら2人で共有できるから」

「だけど、それ本当にそのタイトルでよく5冊目までいったよな」


そう言って、彼は新しいアルバムと婚姻届を差し出した。


「結婚、しよう。これからも一緒にアルバム作ろう?」

「……うん、よろしくお願いしますっ」


 拓海くんは、私にキスをして「愛してるよ、咲良」と耳元で囁いた。その言葉にドキドキして、体温が上昇していくのがわかる。



 パシャ─︎─︎……


「ははっ……最初の1枚、ゲット〜」

「も、もう!恥ずかしいじゃん!」


 私たちはずっと、こんな感じなんだろうなって思う。


【20××年○月△日 幸せの始まりの日♡】


 そう書かれた上には、彼が隠し撮りした……私たちの幸せが溢れすぎた笑顔の写真が1枚貼られていた。




『恋愛ストレージ』完


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