Tiny Promise ~アイドルHinataの恋愛事情【4の番外編のおまけ】~
Tiny Promise
 ぼくの家の前にあるこうえんの、はしっこにある『ふじだな』。
 柱をよじのぼって、葉っぱでできたてんじょうから顔をだすと、そこには、ぼくの『およめさん』が、晩ごはんを作りながらぼくの帰りをまっていた。

「ただいまぁー」
「おかえりなさいっ。おしごと、おつかれさまっ」
「もー、ほんとにつかれたよ。カチョウがどうしても、『のみにいく』って言うから、つきあってやったけど、あのひと、ブチョウのグチばっかりでさぁ」

 ぼくは、いつもパパがママに話していることと同じことを言いながら、『ふじだな』の上にしかれているダンボールに寝ころがった。

「あっ、メイくんっ! ちゃんと、きがえなきゃダメでしょっ!!」
「……えぇ~? そこまでやんの? めんどくさい……」
「メイくんのパパは、おしごとから帰ってきても、おきがえしないの?」
「んー……。っていうか、ほとんどパンツだけになる」
「えっ?」
「さーちゃんが、そこまでマネしろっていうなら、するけど」

 立ち上がってズボンをぬごうとすると、さーちゃんはあわてて、

「やだやだやだっ! ほんとにぬいじゃダメっ! マネっこだけっ!!」
「だから、マネっこするん……わわわっ!! ちょっ……押さないでよっ!! おっ……落ちるっ!!」
「――――こらぁっ! (めい)っ! 藤棚に上っちゃ駄目だって、何度も言ってるでしょうっ!? 降りなさいっ!!」

 声がきこえたのは、『ふじだな』の下。
 ふじの葉っぱをかきわけて、下を見ると……うわぁっ、ママがめちゃくちゃ怒ってるっ!!

「……やーだよっ! だって、さーちゃんが『おままごと』したいって言ったんだもん」
「ほら、また盟はすぐ他人のせいにするっ。紗弥香(さやか)ちゃんも、危ないから降りてらっしゃい」
「ねぇ~、ママ、もうちょっとだけ。だって、さーちゃんが作ったごはん、まだ食べてないからさぁ」
「『だって』じゃないのっ! ご飯なら、もうすぐお昼だから、紗弥香ちゃんのママがお蕎麦作ってくれてるわよ。だから、降りてきなさいっ」

 ママはコシに手をあてて、ぼくとさーちゃんがいる『ふじだな』をにらんでいる。

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