死神に誘われて
3、波乱の中で
死神長が言ってた悪霊を見つけれることが出来ずに、もう1か月は経つ。
今日は学校があるけど、死神長に呼ばれたから、遅刻ということにして天国に帰っていた。
「……ノーチェ、まだ悪霊を見つけられていないのか?」
「すみません……まだです。あの悪霊、気配を隠すのが上手すぎで……」
学校にいる間、気配を探ってみてはいるけど、何も感じないんだ。
「そうか……もう時間は無いぞ。あいつは、恐らく物の怪となっている」
「……分かっています」
「だからと言って、焦ってはならん。引き続き、頑張れよ」
僕に近づいてきた死神長は、僕の肩に手を置くと微笑んだ。
天国に来たついでにルクとロイに会って、僕は現世にやって来た。
いつも通り通学路を歩いてると、ゆらりと炎が上がってるのが見える。嫌な予感がして、僕は走る。
予想通りだった。僕の通ってる学校が燃えてた。生徒や先生は、校庭から学校を見つめてる。
「こ、これは一体……」
――誰か……助けて……!
不意に流れる記憶。熱い炎に囲まれた僕は、必死に手を伸ばしてる。
……何?この記憶……。
意識がはっきりしない中、僕が死神の時に着てる服と同じ服を着た水色目の男の子……ルクが、優しく微笑んで僕に向かって手を伸ばしてた。