死神に誘われて
ガラリと教室のドアを開けた。床に倒れてる絵芽が、黒髪の男性に襲われそうになってる。

「……ねぇ、2回も放火してさ……何がしたいの……?」

僕が声をかけると、ゆっくりと黒いモヤみたいなのをまとった黒髪の男性が振り向いた。その顔は、生前の僕の実の父さんにそっくりだ。

物の怪になった時、生前の姿になる、と聞いたことがあるんだ。

「……お前は誰だ?」

「……誰だろうね。生前のあんたの息子……かな?……あんたさ……父さんなんでしょ?」

僕が微笑むと、物の怪は「……なるほど、お前は極夜か……」と笑う。

「……僕のこと、覚えてるの?」

僕が問いかけと、父さんは「当たり前だろ。長年見続けているからな」と返した。

「ふぅん……あのさ、父さん。さっさと成仏してくれない?おかげで、こっちは迷惑なんだ」

僕はそう言いながら、刀を作り出して斬りかかる。それを綺麗に避けて、父さんは僕を見た。

「お前……死神、なのか?」

「……そうだよ。まだ1年くらいしか死神をしてないけどね」

ニコリと僕は笑うと、父さんは片手を出してレーザーを放つ。

「……っ」

それを避けると、ぐらりと視界が揺れた。……こんなことしてる場合じゃない。早く……早く、絵芽を連れて逃げないと!
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