死神に誘われて

「エメルって、名前を呼び捨てにするっけ？」

「えっと……慣れないけど、何年……もしかしたら、何十年も一緒にいるんだし、呼び捨てにしてみようかと……嫌だった？」

「大丈夫だよ」

心配そうな顔をするエメルに笑いかけると、エメルは安堵のため息を吐く。

「……とりあえず、俺がノーチェをここに運んだんだけど……」

とん、と地面に着地しながら、ルクは言った。

……そういや、ルクの顔って生きてる時、どっかで見た気がするんだよね。どこだっけ……？

「ルクくん、ノチェくん、エメさん。物の怪が、こちらに来る気配がします」

物陰から、ロイが姿を現す。ロイは霊の中で極めて珍しく、現世でも人型を維持することが出来て、呪術を扱えるんだ。

だから、ロイだけは現世に来ることを特別に許可されてる。それで、たまに現世に降りてきて、僕らの補助をしてくれるんだ。

「……さぁ、行きますよ！」

ロイの言葉に、僕らは武器を構えた。