死神に誘われて



目を覚ますと、どこか温かい場所にいた。……ここは、天国だ……。

「あ、目が覚めた……?」

懐かしい声が聞こえてきて、僕は体を起こして声がした方を向く。

「……っ!か、母さん……」

そこにいたのは、生前の僕の母さんだった。

「久しぶり。極夜……じゃなくて、ノーチェ」

「え……僕の今の名前、知ってるの?」

「知ってるよ。死神長が教えてくれたの」

そう言って、母さんは笑う。その後ろから、死神長が姿を現した。

「実はな……俺とお前のお母さんとは、生前の幼なじみだったんだ。俺、今とは違って体が弱くて……中学生の時に病気で死んでしまったんだ……そして死神になって、死神長にまで上り詰めた」

「それでね。スペード……今の死神長ね。スペードから私に会いに来てくれて……私、スペードが死んだ時は、号泣したよ。もうスペードには、打ち明けたからノーチェにも言うけど、ずっとスペードのことが好きだったの」

母さんと死神長は、他にも色々と話を聞かせてくれた。そして、死神長はルクもロイもエメルも驚きそうなことを口にする。

「……もう疲れたから、強そうなフリをするのは止めるよ。俺という一人称も男口調も、全部自分を偽るために変えてたんだ」
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