死神に誘われて
『……大きな悪霊の気配を感知。今すぐ向かえ』

そう言うとカラスは、どこかへと飛んでった。僕とルクは、顔を見合わせて頷く。そして、悪霊のいる気配のする方向へと飛び始めた。

空を飛んでいると、小さな道の真ん中で黒い炎がゆらゆらと揺れているのを見つけて、僕らは近くで降り立つ。

「……何だ。ただの悪霊じゃん。じゃあ、何でここまで大きな気配がするんだ……?」

この周りには、嫌な空気が渦巻いてた。それは、完全に悪霊となった魂でも放つことは無い気配。

「……もしかしたら、物の怪になるやつかも」

隣にいるルクが呟く。悪霊には2種類あって、生者に取り憑いたりして悪さをする黒い炎の形をした悪霊と、死者の魂を喰らう人型をした物の怪。

ちなみに普通の霊は、青白い炎の形をしてて、天国では人型になるんだよ。

「ノーチェ」

ルクは、僕の名前を呼びながら死神だけが持つ刀を構えた。僕も頷いて刀を構える。

「い……っ!」

黒い炎の中から飛んできた黒い斬撃のようなものが、僕の腕を掠めた。

「……何だ?この悪霊……呪術を使える……?」

驚いた顔で、ルクは悪霊を見つめる。呪術っていうのは、死神にしか扱うことの出来ない術のこと。

「……ルク。これ、やばいやつじゃ……」

次々に、悪霊は色んな呪術を放ってくる。レーザー、斬撃、雷……。
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