死神に誘われて
5、終わりと指令
「……皆!」
とん、と地面に着地しながら僕は言う。死神長に、呪術でここまで送ってもらった。死神長は、普通の死神が使えないような呪術まで使えるんだよね。
「ノーチェ、さっきまでどこへ……って、死神長!?」
ルクとエメルは僕に近づいてくると、死神長の姿を見て驚いた顔を見せた。
「……話は、ノーチェから聞いて。ノーチェ、ルク、エメル、ロイ。下がってて……よく頑張ったね。あとは、全部僕が引き受ける!」
そう言って刀を作り出すと、死神長は物の怪に向かって走り出す。
「……話はノーチェから聞けって……一体どういうこと?」
僕に近づいてきたルクは、そう呟いて首を傾げた。僕は、死神長と物の怪の戦闘を見ながら、3人にさっきの出来事を話す。
「……そんなことが……それにしても、死神長は強い……」
ルクは、じっと死神長を見つめた。死神長は苦戦しながらも、物の怪を斬り付ける。
物の怪がクロアゲハに姿を変えると、クロアゲハは地面に落ちる。そして、弾けるように消えていった。
「……強い……」
「そうかな……ちょっと移動しようか」
傷だらけの死神長は、僕らに近づいてくるとパチン、と指を鳴らす。
次の瞬間、軽く体が浮いて景色が変わった。とん、と僕らは一斉に着地する。