死神に誘われて
……ここは……死神長室……。

「皆、今まで偽っててごめん。これからは、素の自分でいる事にするよ。ルク、エメル、ロイ……お疲れ様。ノーチェには、まだ頼みたいことが。あれから、学校がどうなったのか、見てきて欲しい。ちゃんと極夜、という存在がいたことを皆の記憶から消してくるんだよ?」

「分かってます。いつもの服に着替えてから、行って来ますね」

僕はぺこりと頭を下げると、死神長室を出た。



ふわふわと空を飛んで、僕の通ってた学校までやって来た。火は消えてるけど、まだ生徒や先生は外に出てる。

僕は校庭に着地すると、辺りを見渡した。

「絵芽は、助かったの?月森くんは、どうなったの?」

誰かの声が聞こえて、声がした方を見る。あ、エメルを助けに行こうとした時に、僕を止めた人だ……。

「絵芽!絵芽……っ!」

「愛(あい)ちゃん……」

この子、愛っていうんだ……クラスが違うから、名前を知らなかった。

エメルの生前の名前を呼び続ける愛に、僕は近づく。僕が愛の目の前に立ち止まると、愛は顔を上げた。

「つ、月森くん……?」

しっかりと僕を見つめて、愛は言う。……え、この子も霊感が強いの?それとも……。

「……僕のこと、見えてるの?」

そう問いかけてみるけど、返事は返ってこない。そもそも、聞こえてないのか。
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