死神に誘われて
僕は、それを避けるので精一杯。悪霊に近づくことさえ、難しかった。

「……ノーチェ!危ない!」

「え……?」

ルクの方を向くと、大きな黒い塊が、僕に向かって飛んで来てた。

……駄目だ。避け切れない……。

僕の意識は、ここで途切れた。



「……っ」

目を覚ますと、僕は見覚えのあるベッドに横になっていた。

……ここは……。

「目が覚めました?ルクくん、すっごいノチェくんのこと、心配してましたよ?」

黒髪に黒目の半透明の男の子が、僕の顔を覗き込んでいる。

「……ごめん。ロイ……」

ロイは、ここで暮らしてる幽霊の男の子。ここは、天国にある僕ら死神が暮らしてる死神寮。ここでは、呪術を学べたり、呪術の練習をしたり、図書館があったりと学校みたいなものも兼ねてるんだ。

「……さてと……」

僕はベッドから出ると、部屋を出て歩き始める。ルクのいる場所なんて、大体は把握してるよ。

少し歩くと、中庭に出た。そこに生えている木の幹にもたれ掛かるように座っているルクを発見。

「……ルク」

僕は、ルクに声をかける。ルクは、ゆっくりと僕を見てから、安心したように優しく微笑んだ。時々、その笑顔が懐かしく思うんだ。

……何でだろう。そもそも僕は、何で死んだんだっけ?
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