死神に誘われて
2、任務地で
「……嫌な空気だ」
翌日。今日から通うことになった学校の制服に身を包んだ僕は、正門から学校を見上げて呟いた。
怪奇現象が起こっても不思議じゃない空気に、僕はため息を吐く。
「……」
そして、カバンを持ち直して歩き始めた。職員室に入って、キョロキョロと辺りを見渡す。
「月森 極夜(つきもり きょくや)さん……ですか?」
「…………はい」
声をかけられてから、僕は何拍か遅れて返事をした。そうだ、人間状態の僕の名前は、月森 極夜だ。返事をしないところだった。危ない。
「初めまして。学年主任の村上です」
村上先生は、自己紹介をして頭を下げる。僕も自己紹介をして頭を下げた。
「……ねぇ、帰らないの?」
放課後、僕が教室で誰も居なくなるのを待ってると、入口の方から声がして、僕は顔を上げる。ミディアムの黒髪に、緑目の女の子がいた。
「……君は?」
「私は、若月 絵芽(わかつき えめ)!極夜くんと同じクラス。よろしく」
ニコリと絵芽は笑う。その笑顔に、胸が高鳴ったような気がした。な、何だろ……この感覚……。
「よ、よろしく……」
「ねぇねぇ!その首飾り、綺麗だね!」
絵芽は、笑顔を崩すことなく僕に近づいてくると、僕の首にかけられてるペンダントを手に取る。