君がいたから 陽翔、結菜side
「陽翔先生、大丈夫ですか? 」
蓮の言葉で我にかえる。
前を見ると、蓮は心配そうにしていた。
励ますつもりだったのに、情けない…
「ごめん…少し考え事していた。
結愛のこと心配だけど蓮がついていればきっと大丈夫だから 」
大丈夫なんて根拠はないけど、
自分の耳にそう言い聞かせるしかなかった。
次の薬はかなり強いものを使う。
だから、それで効かなければ抗がん剤の効果は期待できないし、
結愛が辛いだけだから止めないと…
でも、諦めるなんて絶対できないから、
抗がん剤がもしも効かなかったときのことも考えないと…
「蓮、じゃあ、頑張ってな 」
結愛の治療で調べたいことが、あったから
とにかく早く仕事を終わらせようと机に戻る。