君がいたから 陽翔、結菜side
やらないとならない仕事を終えた後、院内の専門の医学書がたくさん置いてある部屋に行く。
本棚には分厚い本がいっぱい並んであり、
その中で、白血病の治療について書かれている論文を探す。
ようやく目的の本を見つけて、手にとって開いてみる。
調べたいのは骨髄移植のこと。
もし、抗がん剤が効かなかったら、
移植でしか治療ができない。
だから、実際のやった骨髄移植の例などを読んで
いろいろと考える。
もしやるとしたら、拒絶反応が少なくすむようにHLA(白血球の型)が完全一致の
ドナーから移植するのが望ましい。
でも、実際、親でも完全一致する確率は低い。
もし今回効かなければ、俺や結菜も検査するけど、おそらくHLA半合致で行う移植(ハプロ移植)になると思う。
親子間なら、ほぼ半分は合致しているから
それならきっとできる。
ただ、重たい拒絶反応がでる可能性もあるから、対処法などをしっかりと調べて頭に入れる。
蓮にはまだ言わないけど、もしものときにしっかりと、説明できるようにわかりやすくまとめたりした。
そして、それが終わったのは夜の10時過ぎ。
病院内には夜勤の医師や看護師しかいなくて急いで家に帰って、結菜のご飯を食べて、シャワーを浴びて寝た。