俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「金属の音じゃない音は、聞こえるけど…」
「は?」
隣に座っているなずなは、そう呟いて、気まずそうに視線を下に落とす。
違う音?何?
しかし、違う意味でそれは恐るべきモノだった。
「…んんっ…あっ、やだもう」
…はっ!
そうだ。そうだった。
俺達は今、VIPのラウンジにいるんだった。
斜め後ろにあるソファーから、モゾモゾと動く音と、女の色っぽい声と…リップ音が聞こえてくる。
斜め向かいにいたイチャラブカップルは、いつの間にかいなくなっていた。
今度は真後ろからか…!
「そこにいたカップルは、そっちの部屋入ってった…」
そう言うなずなの指差した方向は、ラウンジ内の個室。
あぁ、とうとう始めてしまったのか。
そして、うつむきがちのヤツはボソボソと呟きを続ける。
「あれからの個室ってことは、つまり、あぁ、うん、そうだろ…うん」
「………」
おまえ…何をそんなに照れている?
「…何でそんなに照れてんの?」