俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
そして、二年の藤村がスキャナーのボタンを押す。
扉が開いて、集団はバラバラと中へ入っていった。
ヨーテリも戻ってこないし、突入命令とやらが出ていない今は、黙ってそれを見守るしかない。
連中は、扉の向こうへと…行ってしまった。
「VIPは二年二人、一年二人。レディクラは…五人。レディクラはこれで全員」
「…今のは人数が多すぎる。伶士、おまえの名案は無理だ」
「………」
確かに。
俺の扉の向こうへ侵入する名案は、女子が狙い目だったんだけど。
「…VIPの一年、後二人残ってる。そこに掛けるしかない」
「来るかどうかもわからないぞ?」
「…祈るしかないだろ」
「っつーか、ゲロマドンナいた。男とホテル行く話してたで?伶士追いかけときながら、他に男いるじゃんかよ」
「………」
…それは、どうでもいいんだけど。
大して構っちゃいなかったし。
「…っつーか、いつ離してくれんの」
左の袖の内側をツンツンと引っ張られる。
注意を引かれてふと見ると、なずなが気まずそうにうつむいていた。