俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
挙動不審に慌てるなずなの顔に手を添えて、近付けていく。
頬に触れられて、ヤツはテンパったのか、とうとうガチガチに動かなくなってしまった。
だけど…動かなくなってしまったら、もうこっちのもので。
更に顔を近付けて、唇でそっとその唇に触れる。
こんな薄暗い地下だけど。
世界がふと、止まった。
「…んっ…んんっ!」
唇を塞がれても、何か言いたいことがあるらしいが。
でも、そこは言わせてやらない。
口を開くのを遮るように、俺の唇はまだ押し付けたままでいた。
…おまえの唇、柔らかくて気持ちいいんだけど。
ずっと、こうしていたい。
世界が止まったような時間が…心地好い。
だけど、ゆっくりと唇を離して、眼鏡を元にもどしてやる。
ヤツの世界も止まったままなのか、そのまま固まっていた。
声も出ないよう。
「あ、あの…」
ようやく声が出たと思ったが、俺の奇襲にまだ混乱してるようで。
言いたいことが言葉になってなくて、まだあたふたとしている。
「…いつかのお返し」
「え…」
「『イケメンとのキスごちそうさま』の、お返し」
「…何っ!」