俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
そして、なずなは、キャラにはなくあわあわと慌てていたけど。
今はこうして、何もなかったかのように普通にしてるけど。
どう、思ったんだ…?
…でも、しかし。
さっき、ギュッと抱きしめたら、柔らかくて気持ちよかった。
なずなの匂い、すごいいい香りだった。
唇も、柔らかくて気持ちよかった。
…だなんて、考えていると。
ドキドキと胸を高鳴らせながらも、なぜかホヤホヤとしてしまう。
いつもあんな強気のなずなが。
顔真っ赤にして、ダメ!みたいな?
このギャップ、何?
かわいい…。
ちょっとした妄想をこさえてしまい、ますますホヤホヤしてくる。
思わず顔がニヤケてしまった。
「…伶士、伶士!」
「…ん?」
「さっきから呼んでるのに、何ニヤケてんだ!」
「………」
そうですか…。
「…で、どうした」
「…来たぞ」
来た…?
と、言葉の意味を理解すると、俺達のソファーの横をサッと通り過ぎていく人がいる。
「やべっ!…遅れる!」
すれ違う瞬間に、把握した。
走って扉の方へと向かう人物。
一年のVIP、猪狩!
仲良かったワケでないが、顔見知り。