俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…しかも、一人だ」
「行くぞ」
そう言って、なずなは俺の肩を叩いて席を立つ。
…これは、もしや。
「伶士案で中に入ろう。こんなチャンスまたとない」
「…わかった!」
ロック解除データも届かず、なるべく早く中へ入りたい。
なので、俺が温めておいた名案が今こそ採用される。
続いて席を立って、なずなの後を追う。
俺がこさえた名案。
顔認証セキュリティシステムを破る方法、とは。
「…こっちだ」
なずなが小声で「来い!」と合図する。
そこは、扉の近く…扉とスキャナー、猪狩の背中を視界に捉えることが出来て、尚且つ一番近い場所。
そこから三メートルほど近くにある柱の陰。
猪狩の背後を取れるほどの距離だ。
陰に姿を潜めて、二人でじっと猪狩の行動を観察。
急に緊張感出てきた。
スキャナーが猪狩の顔に反応して、ピカピカと光っている。
扉が…開くぞ。
そして、ピーと電子音が鳴る。
扉がガバッと開いた。
「…今だ!」