俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
開いた扉の向こうへ、猪狩が身を進める。
その瞬間、二人で扉に向かって猛ダッシュをかけた。
俺の考えた名案。
それは、強行突破。
近くに身を潜めて、VIPもしくはレディクラの登場を待つ。
そして、連中が扉を開けた瞬間、そこへ自分の身を捩じ込む。
と、いう。
セオリーといえば、セオリーな方法。
でも、一か八かで、大胆かつ強引で危ない。
複数いる場合はムリだし。
「…え?…あ、おいっ!」
俺達の足音が聞こえたのか、猪狩は振り返ってビックリした表情を見せる。
そりゃそうだ。
自分に向かって猛突進してくるヤツがいるんだから。
閉じかけた扉の隙間に手を入れ、無理矢理こじ開ける。
猪狩を突き飛ばして、なずなが先に中へ入ったのを確認して、俺も中へと入る。
扉から手を離すと、勝手にバターンと扉は閉まった。
…侵入成功!
「な、な、何だおまえらは!…うわっ!」
突き飛ばされて地に座り込んでいる猪狩に、なずなはすかさずブレザーの内ポケットから短剣を取り出し、鞘を抜いてその先端を顔面に突き付ける。
「大声を出すな!…命が惜しけりゃ黙って両手を挙げろ!」