俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「………」
なずなの直ぐ様の行動に、味方ながら驚いた。
いやいや、ガタガタ騒がれると困るから、捕らえておこうと話はしていたが。
しかし、刃物突き付けて、脅し?
直ぐ様そんな行動、取れる?
手慣れてる感、複雑。
その短剣…陰陽師の術で使う短剣だ。
さすが、その道のプロ?なのか?
おまえなぁ…。
だが、猪狩は光り物を認識して「ひいぃぃっ!」と悲鳴をあげながら、すぐにバンザイしている。
恐怖に満ち溢れた表情を浮かべながら。
短剣の先端を猪狩に突き付けたままのなずなは、俺に無言で顎を使って指示する。
『こいつを捕らえろ』という意味だと理解して頷いた後、背後に回って、猪狩のしているネクタイを外す。
猪狩の手を後ろに回し、腰の中央あたりで両手首をネクタイでガッチリと結んだ。
これで、猪狩、囚われの身。
しかし、至近距離まで近付いてきた俺の顔を猪狩は見てしまった。
「…はぁっ?!…た、橘か?!何でっ!」
「喋るな!」
「…ひいぃぃっ!」