俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
声を発した猪狩に、すかさず光り物を突き付けるなずな。
なずなの迫力もろとも、猪狩はすぐにビビり上がった。
そんな猪狩に耳打ちする。
「…小声で話せ。そうすれぱ刺されない」
「………」
これ、何のアドバイスだろう。
気の利かない自分、情けない。
だが、自分にガッカリしてしまうことがあっても、状況は進んでいる。
なずなは、その短剣突き付けたまま、猪狩に話を持ちかけていた。
「…おい、おまえ。ここからは私達と一緒に来てもらう」
「…え?え?何でっ…」
「ガタガタギャー騒がれるとめんどくさいからな?」
「いや、その、何のためにここに!…橘!」
猪狩はそう言って振り返り、自分の手を拘束している俺の顔を見る。
目で訴えられるが、そこは余計なことは何も言わず、無言でいた。
「…私達は、そこの大部屋に用事がある」
「え?は?」
突然降りかかった事態に挙動不審気味の猪狩は、すぐそこにある大ホールへの入口となずなの顔を交互に見やる。
「この部屋に…用事?!」