俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
…と、いうのも。
なずなの警戒が強くなっている理由が、わからないワケでもない。
そっちの世界には素人である俺でも…何となくわかるんだ。
扉を越えて、こっちの世界に踏み入れた途端。
肌のザワツキが、収まらない。
何というか…異世界に足を踏み入れたような気がする。
うまく言えないんだけど…空気がピリつくんだ、肌に。
…あの時の感覚と似てる。
先の件で、バケモノへと化した悪霊とホテルで対峙した時や。
壱丸デパートの催事まで、なずなを追い掛けて辿り着いた、裏口の倉庫。
そして…雷帝が登場した時と。
何か…何か、この世のモノでないものが、そこにいた時の感覚に、似てる。
恐らく、いるんだ。
この世のモノでないものが。
この近くに。
(……あっ!)
そんな事を考えていた矢先。
耳に障る、何とも言えない不快な雑音が…耳の中に入ってきた。
キリキリとした金属の擦れる音のような。
また…あの音?!
その出所はどこか、辺りをキョロキョロと見回す。