俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「伶士!…そいつを連れて離れてろ!」
こっちにそう叫びかけながら、なずなはデッキブラシの猛攻を次々と避ける。
手にしていた短剣で、デッキブラシの柄を弾いて懐に入ろうとするが、それをなかなか許されず、攻撃を仕掛けることが出来ないでいた。
このおじさん、何なんだ?
まさか…!
《あと、右のおへやに、のーてんツルピカはげ丸ヤローが一人》
《おそうじしてる。こいつ、なまらヤバい》
…ヨーテリの言っていたヤツか?!
「お、おじさん!女の子相手にそこまで!」
「…猪狩!こっちに来い!」
「わわっ!」
縛られた猪狩の腕を引っ張り、言われた通りに端に寄る。
その時、綾小路室長から無線が入り『橘くん、その子から掃除のおじさんについて話を聞いて下さい』と指示があった。
それも言われた通りに、直ぐ様質問を投げ掛ける。
「…猪狩、あのおじさんは何なんだ?本当に掃除に来てるだけなのか?」
「えっ?あ、あぁ、まぁ、うん…」
目の前で次々と起こる事態に混乱しているのか、猪狩の返答はしどろもどろだ。
でも、そこは構ってられない。