俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
やはり、この人。
この世の生物ではない。
「…あれは、犬神じゃない。式神だ。…優秀過ぎて見分けがつかなかったか?」
なずなは不敵な笑みを浮かべて、まともに答えているが。
しかし、おぞましいスキンヘッドのハゲ丸は、乏しい表情のまま、額やこめかみの辺りがビキビキと痙攣している。
怒って…んの?
「…おまえの犬が…吠えて、俺の力を削ぎ落としていきやがった…」
そして、辺りの空気が徐々にビリビリとし始める。
それを肌で感じると、緊張感が…走る。
これは、殺気なのか?
スキンヘッドの顔面痙攣は収まるどころか、ますます激しいものになっていく。
顔が変形する勢いだ!
その様子を、ただ黙って見守るしかない。
傍にいる猪狩は、ビックリ仰天のあまり、口を開けたまま狼狽えるばかりで声も出ないようだ。
なずなも同様、黙って見守っている。
警戒は、解かず。
そして、舌打ちする。
「…まさか、魔族とはな」
スキンヘッドの頭には、メキメキと角が生えてきて。
肌の色も徐々に黄身を帯びた鮮やかな赤となっていく。
その変形していく様に、険しい表情となっていた。