俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

やはり、この人。

この世の生物ではない。



「…あれは、犬神じゃない。式神だ。…優秀過ぎて見分けがつかなかったか?」



なずなは不敵な笑みを浮かべて、まともに答えているが。

しかし、おぞましいスキンヘッドのハゲ丸は、乏しい表情のまま、額やこめかみの辺りがビキビキと痙攣している。

怒って…んの?




「…おまえの犬が…吠えて、俺の力を削ぎ落としていきやがった…」



そして、辺りの空気が徐々にビリビリとし始める。

それを肌で感じると、緊張感が…走る。

これは、殺気なのか?




スキンヘッドの顔面痙攣は収まるどころか、ますます激しいものになっていく。

顔が変形する勢いだ!

その様子を、ただ黙って見守るしかない。

傍にいる猪狩は、ビックリ仰天のあまり、口を開けたまま狼狽えるばかりで声も出ないようだ。



なずなも同様、黙って見守っている。

警戒は、解かず。



そして、舌打ちする。



「…まさか、魔族とはな」



スキンヘッドの頭には、メキメキと角が生えてきて。

肌の色も徐々に黄身を帯びた鮮やかな赤となっていく。

その変形していく様に、険しい表情となっていた。


< 165 / 492 >

この作品をシェア

pagetop