俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「あ、あああ…お、おじさん」
先ほど同様、猪狩は驚きで開いた口が塞がっていない。
それもそのはず、いつも何気なく会っていたおじさんが…あり得ない姿へと変貌を遂げてしまったのだから。
着ていた作業着そのまま、人間の肌色ではく、黄身の帯びた鮮やかな赤色の肌となり。
作業着の袖から伸びる手も赤く、ワンサイズ大きいものとなった。
帽子が弾かれたスキンヘッドからは、デカい角が一本生えていて。
ラリってキマったような目付きはそのまま、顔付きは般若のように険しく。
ヨーテリ並みに立派な牙もある。
これは、もう…赤鬼?
「…猩々(しょうじょう)鬼。…ったく、誰がこんな大物こっちの世界に連れてきた」
なずながそう呟いて構えると、またしても綾小路室長から無線が入る。
『まさか、魔族さんだとわ。猩々鬼?』
「初めて見たけど、教科書によると超肉体力押しゴリラ系武道派魔族」
『ゴリラ系相手に接近戦、大丈夫なの?』
「…ヨーテリが吠えて魔力削ぎ落としてくれたから、相手出来そう」
『了解。悠介到着次第すぐに合流させるから。それまで持ちこたえて』
「…持ちこたえる?風祭いなくても、私一人で十分だ」
『無理しないで』