俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
そして、右の手にしている短剣を、そのまま天に翳す。
「ナウマク・サンマンダ・ボダナン…」
すると、どこからか薄い朱色の艶やかな、霊気のベールが四方から集まってくる。
なずなの頭上で花を象っているかのように動いていた。
これは、お馴染みの技…だが、しかし今回はちょっと違ってる。
なずなの翳した短剣に、そのベールが集まっいて。
短剣が華を咲かせているような。
「…アロリキャ・ソワカ!…『朱霊花』」
同時に短剣を変わり果てたおじさんに向かって振りかぶって投げ込む。
華となったベールを引き連れるように。
霊気のベールを伴った短剣は、赤鬼となったおじさんの左肩を狙う。
短剣、そんな使い方もあるのか!
風と音を立てて、爆発。
命中した。
…かのように、思われたが。
「…何っ!」
爆風で立ち込める煙を掻き分けるように、赤顔おじさんが俊敏な動きで走りながら姿を現す。
あっという間になずなの前に立ちはだかり、まだ持っていたデッキブラシをおもいっきり振り上げていた。
…速い!