俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「ナウマク・サンマンダ・ボダナン…」
真言唱えている最中だろうがそんなの構わず、赤鬼は再びデッキブラシの猛攻を次々と繰り出す。
印を結びながら、それをひょいと回避しながら…またしても防戦一方だ。
「…マカ・ナーラ・ア・ビラ・ウンケン・ソワカーー蓮華、曼陀羅陣!」
勢いよく振り下ろされたデッキブラシを、超高速で登場したピンクのガラス、蓮華曼陀羅陣でガードする。
激しく大きな音が響くが、長い押し合いにはならず、お互い離れて距離を取る。
「ゴリラのくせに、スピードあるなんて…聞いてないよ!」
再び先手を取ったのは、赤鬼ゴリラ。
直ぐ様一歩踏み込み、なずなにデッキブラシ攻撃をガンガンと仕掛ける。
武道派だけあるのか、デッキブラシ裁きが見事だ。
一言も発せずに黙々と攻撃を繰り出すその姿は、恐ろしさすら感じる。
またしてもなずなは、防戦一方で。
スピードに翻弄され、攻撃の間合いを取らせてもらえないようにも見える。
「あっ…しまった!」
なずながそう言い切る前に、赤鬼はデッキブラシの先でなずなの腹を突いて狙う。
手でガード仕切れず、なずなは後方にぶっ飛んでいった。