俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
床に体を打ち付けられ、ゴロゴロと転がっていく。
しかし、すぐに体勢を直して足の裏を滑らせて停まり、立ち上がった。
ダメージを受けた腹を押さえて、よろよろとしているようにも見える。
「ちょっと、今のままだとピンチ…」
膝に手をついて、荒くしていた呼吸を徐々に整えている。
大きく息を吸ったり、吐いたり。
すると…そこで、左耳のピアスが急に輝きだした。
淡い、白い光を放って。
規則的に大きく、小さく。
「…だよね?…親父」
光を灯すピアスに、指が触れる。
その光は、指に移り、やがて掌全体を包んでいる。
しかし、赤鬼はそんなの待たず、デッキブラシを振りかざしてなずなの元へと踏み込んで向かっていく。
だが、なずなはそれを敢えて迎え撃つかのように、低く腰を落として構えた。
「…Knight,…move on…」
滑舌の良い英語に反応して、淡く白い光は更にその輝きを増していき。
神々しい光に、一瞬だが赤鬼ゴリラはたじろぐ。
「…Kinnara…sowaka!」