俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~

出た。スーパーパワー。

神童・絶対従者の力。



視界を奪うほどの光で、何も見えなくなるが。

殴打音だけは聞こえていて、目が慣れた頃には、なずなが赤鬼ゴリラの懐に入り込み、技を繰り出すその瞬間だった。



「…『朱霊花』!」



先ほどの倍はある威力を放つ、先ほどの同じ技は、赤鬼ゴリラの腹ど真ん中に命中し、相手の体ごと後方に吹っ飛ばしている。

今度は、赤鬼ゴリラが壁に叩き付けられた。

しかし、そこで手を緩めることはなく。

なずなが両手をかざすと、それぞれに白い光が集まってくる。

それはだんだん姿を変え、白い光の蓮の華を作っていた。

左右にひとつずつ。



「…白蓮華!」



掌の上でくるくると回る白い蓮華の花を、赤鬼に向かって間髪入れず、どんどん投げ込む。

次々に爆発音をあげて、煙が立ち込めており、赤鬼ゴリラの姿が見えなくなっていた。

だから、この技パイ投げに見えて仕方がない。

綾小路室長が無線で『従者パワーですか…結界張ってないんで、ほどほどに』と、ボヤいていた。



しかし、なずなは緊張の表情を崩さず。

再び腰を落として構える。



と、思ったら、いつの間にか煙の中から忍者のようなスピードで、赤鬼ゴリラが走り込んできた。


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