俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
少しムキになったような声を出し、なずなは印を突き出す。
すると、モヤは一気に、赤鬼ゴリラを穴に吸い込んだ。
赤鬼の姿は瞬時に無くなる。
バーン!と扉を閉めるような音が響き、紫のモヤと穴は一瞬で消え去った。
「ナメやがって…!」
形勢逆転、勝利。の、はずなのに。
なずなの表情は、怒りに満ちたものになっている。
突然のバトルが、突然終了し。
一目散に、なずなはこっちにずかずかと歩いてやってくる。
用があるのは…猪狩だ。
「…おい、こら!セブンライト!」
「ひいぃぃっ!…えっ?えっ?!な!な、何ですか!」
今のバトルを目の当たりにして混乱している猪狩に、更に怒鳴り付けて凄む。
ますます猪狩はパニっていた。
「今の…今のゴリラ、誰が連れてきた!誰が連れてきたんだ!」
「えっ?!えっ?!」
いや、そんなことを質問したって。
なずなは、わかってると思う。
俺だって、あの赤鬼ゴリラは誰と関係あるのか、勘づいた。
赤鬼ゴリラの吐き出した、あの黒い羽根。
その、持ち主。
背中に、人の大きさ以上の黒い翼を背負う。
黒い羽根の天使。
『黒翼』リグ・ヴェーダ…!