俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…しかも、余計なことはするなと言ったのに、あのゴリラに助けを求めようとしてたな?!…お望み通り、八つ裂きにするぞコラァ!」
「す、すみません!すみません!すみませんでしたぁっ!」
怒りのなずなに、ペコペコする猪狩。
完全にビビってるぞ。
…いや、ここで捕らえたのが、物腰の低い気弱な文化系の猪狩でよかった。
他の連中だったら、気が強いしプライド高いし、格闘に通じているヤツもいるから、こんな風にいかなかったかもしれない。
『バケモノの所有ですか…わかりました』
そう呟いた綾小路室長。
短くため息をつく。
『…だいたい話が見えてきましたよ?…それでは、捜査員のお二方。右二つの個室をサッと確認したらすぐに、左の大部屋へと踏み込んで下さい』
「は、はい…」
『ブツを確認次第、我々も突入準備をします』
ブツ…それは、猪狩の言うバケモノのこと、か。
それからすぐに、猪狩と、猪狩を拘束したままの俺を連れて、なずなが右の個室二つを速やかに確認する。