俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…普通のホテルの部屋だな」
「あ、ベッドの下にアダルトグッズありますよ」
「………」
「…ああぁぁ!い、痛いっ!」
なずな、無言で猪狩に蹴りを入れた。
ったく…。
そして、とうとう。
大部屋、大ホールに突入することとなる。
「橘ぁ…」
俺に後ろで腕を拘束されている猪狩が、ボソッと呟くように、俺の名前を呼ぶ。
「…ん?」
「橘は、ここに何しに来たの?」
「え…あー…」
「っていうか、あの女子、何者?めちゃめちゃ強いどころか、何なの?ヤンキー?可愛いけど」
「え、えぇと…」
弱った。そんな質問されても。
まさか俺達が警察の捜査員だなんてことは言えないし、なずなが陰陽師と言っても、猪狩はどこまで理解するんだ?
返答に困って口をつぐんでいるも、猪狩は質問を続ける。
「あの子…橘の彼女?」
「えっ!い、いや…違う」
「え?可愛いのに?中身ヤンキーみたいだけど」
「…コラァ!喋るなっつってんだろが!セブンライトがぁっ!」
「うわああぁぁっ!…は、はいっ!す、すみませんっっ!って、セブンライトって何すかっ?」