俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
また、横入れしてきた。
猪狩に恫喝する姿は、まるで獣だ。
猪狩も猪狩だ。余計なこと喋るな言われてんのに。
おまえ、天然…?
そんなゴタゴタ(?)がありながらも、大部屋の扉を目の前にする。
なずなが扉に耳を当てている。
中の様子を伺っているようだ。
「…全員、ここにいるみたいだな」
「………」
猪狩は無言で頷く。
こいつ、急に喋らなくなった。
ひょっとして…何か、やましいことでもあるかのような。
「………」
そんな猪狩の様子に、なずなも気付いているようだ。
ふんっと鼻で笑う。
「…中に入れば、何があるのかわかる」
そう言って、扉のドアノブを握る。
しかし、下を向いた途端、なずなの体がガクッと揺れる。
え…?
「おい、どうした」
「…何でもない」
苦い顔をして、ドアノブを握ったまま俯くなずなを、首を傾げて見つめる。
…でも、俺は。
その時はまったく気付いていなかった。
赤鬼ゴリラとのバトルで、なずながおもいっきり体力、霊力を消費していたことを。
「…開けるぞ」