俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
しかし、なずなはクワッと顔をしかめてイラついた表情を見せる。
「…だーかーら!わかりきったこと言ってんじゃねえよって!このゲロマドンナ!…『おまえは誰だ』ゲームやってんじゃねえんだよ!こっちは急いでんだ!」
そう怒鳴り散らして、なずなはバカデカい檻の方を指差す。
それは、檻の中にいるバケモノと、閉じ込められた伊藤さんのことだ。
っつーか、ゲロマドンナみんなの前で御披露目するな。
誰も突っ込んでこないから、まだいいけど。
そして、ひとつ咳払いをする。
「…私は、警察の嘱託捜査員だ!」
勢いのような気もするが、とうとう素性を明かした。
「この魔獣の所有、飼育は札幌市の条例違反に値する。ましてや、魔獣で一般市民を傷付けるなんて、結構重罪だ。…そういうワケで、いくらか話を聞かせてもらうぞ」
刑事ドラマのように、カッコよく言い放った。
いや、それはいいが…。
「条例違反?…は?」
「な、何が…?」
「何の条例?」
連中がザワザワし始めた。
しかし、そのザワツキは警察や罪に対する恐縮のザワツキではない。
疑惑のザワツキ…。