俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…魔獣?…このバケモノを飼うことが条例違反?んなの聞いたことねえよ!」
「そ、そうよそうよ!学校の授業でも聞いたことがないわよ!」
でしょうね。
みんなが疑惑に思うのは、無理もない。
俺だって、先日の沙羅先輩の現場に立ち合ってなかったら、知らなかった。
魔力の取引、魔族との人身売買は愚か、魔獣を所持飼育することや、それで一般市民を傷付けることも禁止だなんて、今ここで知った。
そうなの…。
「…確かにな。これは術者向けの条例だから、一般市民に周知されてないのは、無理もない…けどな?」
冷静に説明をしているようにも思えるが。
その淡々とした空気が、ちょっと恐いと思えてしまうのは、なずなのことをよく知ってる俺だけだろうか。
「…疑問に思わなかったのか?こんな動物なのか何なのかわからない、バカデカい生き物をここで飼ってることを。大問題だぞ」
ザワツキは少しばかりか、静かになる。
そこは核心だったのか、やはり何も言えないようだ。
「………」
隣にいる猪狩も、再び俯いていた。