俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…ほら!…伶士!…早く!」
「…いでっ!わ、わかった!」
いつまでも座ったままでいると、美森が背中をバシバシ叩いてくるので、無理矢理立たされたカタチとなる。
「急げ!」と後ろで呟かれ、反射で思わず急いで向かってしまった。
部活中じゃあるまいし。
「ごめん、取り込んでる最中だった?」
目の前に現れた俺への第一声は、気遣いの言葉だった。
さっき、ちょいおこだったくせに。
らしくない…なんて思いながらも、「いやいや大丈夫」と答える。
「で、早速だけど何?」
「…お、そうだそうだ。二、三聞きたいことあるんだけど」
なずなが手にしているのはタブレット端末。
指でひょいひょいと軽快に操作している。
「…伶士って確か、北桜学園にいたよね」
「うん、そうだけど」
そう話して操作しながら、画面上に出てきたのは。
建物の…設計図?
いや、設計図にしては簡素で。
でも、建物の案内図にしては、随分詳細に描かれている。
『家庭科室』『1ーA教室』…?
そこで、ハッと気付く。
よく見るとそれは。
覚えている懐かしい間取りで。
これ、北桜学園の中等部校舎と高等部校舎の見取り図…?
何で、なずながこれを…?