俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
キリキリキリキリ…と、背筋がざわつくような不快な音の中で。
なずなは、耳を塞ぐ様子もないまま、魔獣の前に立ち尽くしている。
音、大丈夫なのか?
放心してるようにも見えるけど。
どうしたんだ…?
(…あっ)
そして、魔獣の姿を目に入れた時。
響く金属音のような鳴き声に被せて…途切れ途切れに言葉が聞こえてきた。
【…た…すけて……お…なか…すいた…】
また…聞こえた?
助けを呼ぶような声が。
辺りを見回すが、その声の元らしいものは見つからず。
何度見回しても、そこは変わらぬ風景。
耳を塞いで不快な顔をみせる、VIPやレディクラの連中ばかりだった。
「…ちょっと!いつまで変な声出してんのよこのバケモノ!…うるさっ!」
「何なんだ!最近キモい声ばかり出すようになりやがって!」
騒音を発する魔獣は、その大きい顔をブンブンと横に振る。
そして、天を仰いでまた金属の擦れたような音をその口から発するのだ。
まるでそれは苦痛を伴う、金切り声の悲鳴のように。