俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
《あのねー。悲鳴をあげてるのー》
…悲鳴?
《結界のヤバいなにか、悲鳴をあげてる。へんな音》
これは悲鳴…なのか?
魔獣の…悲鳴?
…じゃあ、金属の擦れる音からわずかに聞こえる、あの声は。
【おね…が…い……にんげ…ん…どけ…て…】
魔獣の…声、なのか?
今一度、奴らの様子を見ると。
この不快な騒音…魔獣の悲鳴を耳に入れまいと必死な表情で耳を塞いでいる。
魔獣の声、こいつらには聞こえていないのか?
【き…ずつ…けたくな…いよ…】
何で俺だけが、聞こえるんだ?
…いや、もう一人いる。
「そうなのか…そうだったのか…」
檻の前で、魔獣を見上げて呟く。
なずなだ。
この耳障りな騒音が響く中、黙って立ち尽くしたままだ。
そのなずなの声に反応するように、擦れる金属音、魔獣の悲鳴は更に大きくなってキリキリと発される。
【…にんげ…んた…べた…くない…よ…】
悲痛な、声も聞こえて…。
【…く…るしいよ……】
「…わかった」