俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
簡単に、伊藤さんを救出してしまった!
「大丈夫か」
「あ、ありがとうございますっ…!」
安心で体の緊張が解けたのか、伊藤さんはへなっと力が抜けている。
傍にいるなずなの腕をしがみつくように掴んで、徐々に泣き声をあげる。
「うっ、ううぅ…」
「泣くな。もう大丈夫だから」
「あり、ありがとうございます、ありがとうございます…」
そして、なずなは伊藤さんに何か耳打ちする。
伊藤さんは泣きながらも、「はい…はい」と、頷いているが。
「…おまえぇっ!何勝手なことしてんだよ!」
そんな二人のもとへ、怒鳴りながらズカズカと足を向けるのは、二年のVIP、藤村だった。
勝手なことをされて相当お怒りなのか、足早だ。
「…おいっ!」
怒鳴って藤村は、背を向けているなずなの肩をガッと掴む。
だが、それは一瞬の出来事だった。
「…触るなクソヤロー!」
肩を掴まれたなずなは、俊敏なスピードで腕をバッと払いのける。
なずなの手は、藤村の手に当たる。
しかし、当たった瞬間、ボキッ!と、変に鈍い音がしていた。