俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「…うぎゃああぁぁぁっ!!」
その瞬間、藤村は汚い悲鳴をあげながら、飛び上がって地に踞る。
その様子は尋常ではない。
どうした…?
「…ああぁぁぁっ!!…腕が!腕があぁぁっ!」
「藤村?!」
「藤村さんっ!」
のたうち回る藤村に、仲間であるVIPたちが駆け寄る…が。
その足を途中で止めている。
「…は?藤村、手…!」
「なっ…!」
俺も、その惨状を見て驚いた。
息、止まるかと思った。
藤村の手…変な方向、向いてる!
捻挫とか骨折なんてレベルではない!
手首から末端が、あらぬ方向に向いて…!
軽く払っただけなのに?
これは…!
『え…』と、綾小路室長の思わず漏らした声も、無線から聞こえてしまった。
(まさか…)
藤村の手を変な方向に向かせた張本人へ、恐る恐る視線を向ける。
ヤツは、こっちの事件なんて目もくれず、先ほど救助した伊藤さんとまだ話していた。
「…いいか?今すぐ走ってこの部屋を出ろ。私の仲間が待機している」
「は…はい!」