俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
すると、伊藤さんもこっちの事件に目もくれず、ダッシュで出口の扉へ向かっていく。
「…あ、おい、コラァ!」
VIPの怒号すら無視して、あっという間に部屋を出て行ってしまった。
その姿をいなくなるまで見送った後。
「さて…」と、ヤツはこっちに視線を戻す。
しかし、その目付きに、ゾクッと恐怖を覚えててしまったのは言うまでもない。
ヤツの目は、座っている。
「おまえらさぁ…」
妙に、静かな物言いで。
無表情に見えるのだけど…いや、怒ってる。
それは、わかる。
こんな、なずな…見たことあっただろうか。
「やること、クズなんだよ…」
だけど、体から出てるオーラ、空気が半端じゃなくピリピリしている。
さっきと空気の流れが違う、そう思ったのは俺だけか?
そこで、綾小路室長からの無線が入る。
『…なずな?…なずな?どうしたんですか?返事は?返事!』
室長、慌ててる?いつもの落ち着いた話し方が、少し焦りを感じる。
…そして、大変な現状を俺は知るのだ。
『…なずな?ダメ、ダメですよ?…従者パワー、引っ込めて下さい?…なずな!』