俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
無線から『はあぁぁ…』と、綾小路室長のため息が聞こえてきた。
『なずな…完璧魔獣に感情移入しちゃってますね…』
『…室長、準備整い次第、突入します』
『急げ!なずなに一般市民を殺させてはならない!』
綾小路室長が慌ててるのか、無線の向こうの状況も聞こえてきた。
え…この慌てぶり。
相当ヤバいの…?
なずなが人を殺すって、おい。
おい…。
…でも、今のこの怒りに溺れた状態じゃ、あり得ない話でもない。
なずなが人を殺す…?
その力で…?
…俺をも助けてくれた、その陰陽師の力で?
(……)
それは…!
「…おいっ!おまえ、さっきから何ワケのわかんねえことばかり言ってんだ?」
「藤村さんに何したんだ!俺達VIPに楯突いて…タダじゃ済まさねえぞ!」
一方、なずなの前には、高橋を背に庇うように、VIPの連中が立ちはだかる。
先ほどの藤村の件で、お怒りなのか。
男子四人で、一気になずなを囲んだ。