俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
先頭に立ってなずなに文句をつけるのは、二年の一ノ瀬。
「藤村に何をしたかは知らねえが、泣いて許されると思うなよ?」
そう言って、なずなを上から見下ろして威圧しているが。
今の…このなずなに通用するワケがない。
なずなは、その座った目で…血走ったその目でゆっくりと一ノ瀬を見上げる。
「…おまえこそ、小さなハコの中でイキがってんじゃねえぞ?井の中の蛙、大海を知らず」
「あぁ?!…おい、随分と威勢の良い女だな?…マワすぞおまえ!」
導火線が短いのか、一ノ瀬はすぐに表情に怒りを見せる。
なずなに一歩近付き、「コラァ!」と、なずなのブラウスの襟元を掴んで引き上げた。
その瞬間、なずなは眉間にグッとシワを寄せ、拳を待機させていた。
(…いけない!)
…待て!
一ノ瀬、マワすどころの話じゃない!
…腹パン一発で内臓破裂するぞ!
なずなに、手を出させてはいけない。
そう思うと、二人の元へ駆け出していた。
「…れ、伶士っ?!」