俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
無駄話くっちゃべりながら、余裕をかましてヘラヘラとやってくるのは、九郷。
こいつは…確か、テコンドーやってるはずだ。
先の雑魚二人とは違う。
「辞めたヤツが…今更、出しゃばってくんな!」
そう叫びながら、懐に飛び込んできてワンツー繰り出してくる。
二発テンポ良くガード出来たと思ったら。
目の前にはいつの間にか、右の足の裏…上段蹴り!
(…速い!)
咄嗟に出た左手で防御しきれたが、衝撃が強く、鋭い痛みと痺れに襲われる。
ちっ…やっぱ経験者、パワーあるな。
だが、そうでなくてはただの弱いものイジメになる。
そこは、逃さずカウンター。
「…何っ!」
隙の出た懐に逆に入り込み、右ストレート。
命中するも、ダメージを受けたかどうか確認しているヒマはない。
だらだらとパンチ入れ合っているつもりもない。
辞めたヤツ、今更出しゃばるよ。
このまま、黙って見てる場合じゃない。
学園のことも。
…なずなのことも。
こんな俺にでも、出来ることは必ずある。
そう思えるぐらい強く、前に出ることが出来るようになったのは。
なずな、おまえのおかげかもしれない。