俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
家柄に負けたようか気がして、人の目をすごく気にしていて。
この学園では、なるべく目立たずひっそりと過ごしていた。
でも、腹に抱えたドス黒い感情を手放して、そんなことを気にせず振る舞えるようになったのは。
今の高校生活と…なずなのおかげだ。
…だから。
俺を助けてくれたなずなが、そんな《怒り》に溺れてしまわないように。
出来ることなら体を張る、俺は。
背に庇い、盾となる。
体勢整えてから、九郷の位置を確認。
足を踏み切って反動をつけて、底を擦って右足を振り上げる。
上段回し蹴り。
上がった足の踵が九郷の顔面にパーン!と当たった。
「くっ…おまえ!」
踵を顔面にガッツリ食らった九郷は、後ろに仰け反った後、足元をよろよろとさせる。
ガクッと膝をついていた。
軽く脳震盪を起こしたのか、俯いたままでいる。
クリティカルヒットだったろうか。
九郷を警戒しながら見張っていたその時、背中をそっと引っ張られる。
「………」
何となく背後を覗き込んでみると。
なずなが、俺のブレザーをちょこんと詰まんでいた。