俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
は…逃げる?
「あんなのにやられたら、私達死んじゃう!ここは危ないよ!伶士も一緒に行こう?!」
「え…何で」
「何でって?!…あの陰陽師に、伶士も逃げろって言われたでしょ?!」
なずなに…?
《伶士…おまえも逃げろ!》
俺も逃げろって…?
《取り敢えず、ヤバい状況になったら、伶士。走って逃げろ。いいな?》
ヤバい状況…どんな状況?
その時、再び魔獣がギャアァァァッ!と不穏な叫び声をあげる。
注意を引き付けられるかのように、その方向に顔を向けた。
そこには、引き続き鳴き声をあげる、興奮しきった魔獣が駆け出していく。
「…唐紅の錦・黄金色の稲穂・橙の狭間・金色の絵巻………ちっ!」
言霊を口にしている、なずなの元へ突進する勢いだ!
魔獣の猛突進に気付いたなずなは、手を降ろし言霊を一時中断。
低く構えて、再び迎え撃つ体勢となる。
「ーー蓮華、曼陀羅陣!…うぁぁっ!」
鉄板の防御の盾、蓮華曼陀羅陣を出現させるも、魔獣の猛突進のスピードの方が速く、不完全な結界の盾は体当たりで破られていく。
「…なずなっ!」