俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
盾を失って、もろに魔獣と正面衝突するカタチとなり、衝撃でなずなは遠くに吹っ飛ばされていった。
突進の勢いは凄まじく、壁にダイレクトに叩き付けられると、一際大きい物音が響いていた。
反撃を受けたなずなは、ずるずると床に落ちて地に踞っている。
ヤバい状況…これが、一番ヤバい状況なんじゃないのか…!
そんなダメージを受けた姿を目にして、思わずその方向に身を乗り出してしまう。
しかし、逆方向に腕を引っ張られ、体がガクンと揺れた。
「伶士!ダメ!…行かないで!」
「薫!」
「伶士が行ってどうなるの?!…逃げよう!」
俺が行ってどうなる…?
…いや、どうもならない。
だって、俺は一般人。
何の力も持ってない。
なずなみたいな陰陽師の力、あんなバケモノを一瞬で倒す力、何も持ち合わせてない。
(くっ…)
…でも、そんなことで納得出来るか?
なずなは戦って、傷付いてるのに。
俺、力持ってないから、逃げます。
…出来るのか?
頭の中で、ぐるぐると駆け巡る。
今までに抱えた想いと、現在の葛藤が。