俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
(………)
…だけど、こんなに考えたって。
結局、答えは決まってる。
さっきからギャアギャアと鳴いている魔獣は、再びなずなの方へと顔を向ける。
更にギャアァァァッ!と鳴き声をあげた。
【にげて…にげて…】
魔獣の行動に反した、懇願の悲鳴が心痛い。
だが、なずなはダメージが大きかったのか、上半身を辛うじて起こしているのみで、膝をつくことすら出来てない。
逃げてと訴えながらも、意に反した興奮した状態で、人間であるなずなを狙う魔獣。
この、ヤバい状況。
このまま…見ていられるはずがない!
「…ごめん、薫!」
「あっ!…伶士っ!」
薫の腕を振り払って、そこから駆け出す。
未だ立ち上がれずにいる、なずなの元へ。
こんなヤバい状況で葛藤してる場合じゃないんだよ!
…おまえを置いて逃げる?
そんなこと、出来るか!
「…なずなっ!」
飛び出すその向こうのなずなが、俺に気付いた。
驚いたのか、急にガバッと顔を上げる。
「は?!…伶士!」