俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「大丈夫か?!」
直ぐ様辿り着いて、なずなに手を貸す。
立ち上がれずにいるその中途半端な体勢の体を抱き上げて起こした。
「立てるか?」
「伶士、何で!…何で来た!」
「…おまえを置いて逃げれるか!」
しかし、なずなの元へ辿り着き、手を貸せたのはいいが。
脅威は、すぐ目の前に迫っていた。
メキメキと足音が聞こえる。
気付いた時には、すでに魔獣が一歩踏み出していて、こっちに向かって飛び掛かってきていた。
…来る!
「…伶士っ!な、何を!」
魔獣の突進を前に、なずなの体をそのまま背に庇う。
その行動に、なずなは驚いて俺の背中を引っ張っていた。
「…俺が盾になるから、今のうちに!…何とかしろ!」
俺が盾になって、時間を稼ぐ。
その間に、なずながなかなか準備が出来なかった術とやらをこさえて貰えれば。
と、思っての行動だった。
の、だけど。
「…ダメだ!」
目の前に迫った魔獣の突進を、ギリギリ避けるように、なずなは俺の体を抱えて横に飛ぶ。
魔獣からは逃れられたが、二人で抱き合うカタチで、吹っ飛んで床に滑り込んでいった。