俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~
「なずな、何で!」
「盾だなんて!…伶士にそんなことさせれるか!」
「…いいんだよ!でないと…」
と、言い合っているうちに。
倒れ込んでいる俺達の前には、すでに魔獣が…。
ギャアァァァッ!と悲鳴をあげて、近付いてくる。
(あ…!)
何をどうするべきが、もうわからない。
でも、なずなは…なずなだけは護らなくては。
俺なんて、どうなっても構わない。なずなさえ助かれば。
「伶士!…わっ!」
腕の中にいるなずなの頭を自分の胸に埋めて、しっかりと抱き止める。
魔獣に背を向けて、絶対の防御だ。
なずなさえやられなければ、この場は何とかなるかもしれないという信頼もあるし。
なずなだけは、絶対に傷付けさせない。
護りたいんだ。
…大切だから。
魔獣の足音が徐々に速くなり、近付いてくる。
なずなを抱き締める腕に、グッと力を入れる。
絶対に、護るんだ…!
『…白群の泉・濃藍の天空…』
魔獣の足音を近くに感じ、歯を食い縛った…その時。
細く、低くはない男性の声を耳にした。
『剣咒、《水星乱舞》』